体に働きかける「亜鉛」のこと、あなたはちゃんとに理解していますか?
↑のように書くと少しムッとされるかもですが(笑)じつはあんまり知らない…という方が多いと思います。(もちろん私もその1人だったw)
人の場合でもそうなのだから、犬の場合だったらなおさら…ですよね。
そこで今回は「犬と亜鉛」についてまとめてみました。
目次
亜鉛とは何か?
亜鉛は、ミネラルの1種です。微量元素なので、カルシウムのように多くの量を必要とはしませんが、体中に存在していて、生命活動を維持するうえで絶対に無くてはならない成分です。
亜鉛の働きを簡単に書いてみますと…
- 生きるために必要なたくさんの酵素(約200)を働かせるのに必要
- 細胞の生まれ変わり、DNAの合成に必要
- インスリンの成分でもある
- 皮膚、被毛、粘膜、爪の健康に必須
- 抗体を作るときに必要で、免疫細胞の活性化に役立つ
- コラーゲン、ケラチンを作るのに必要(だから皮膚や被毛に影響大)
- 肝臓に良い働きがある
このようになっています。これは人も犬も共通することです。
よく耳にするミネラルがカルシウムやマグネシウムなんかだとしたら、亜鉛はすごく影の薄いミネラルかもしれません(^_^;)
でも上記を見ても分かるように…すごく大切ですよね?
そしてここで声を大にして言いたいのは、
犬は人よりも多くの亜鉛が必要
だということです。
犬は人よりも多くの亜鉛が必要だった!
体重差で考えた場合、たんぱく質もカルシウムも、犬は人よりも多くの量を必要とします。
そして亜鉛もまたその1つ。
成人男性の1日の亜鉛の推奨量は10mgとされているのに対して、犬は体重1kgあたり0.9mgが必要量とされています。
えっと…成人男性の体重を仮に60kgとすると…犬に換算したら54mg!いかに多いかが分かります^^;
そんなわけで、ペットフード業界を取り締まるAAFCOの基準では、ドッグフード100g中に亜鉛は最低でも「12mg」含まれていないといけない、という決まりがあるようです。
ただ、そうやって数値として目で見ると「それだけ摂っておけば大丈夫」と思ってしまいがち。
実際は個体によって吸収率も変わってくるので、それがその子にとっての“本当の必要量”であるかは分かりません。
吸収率は色々な要因で低下してしまいます。
必要最低量は満たしたほうがいいですが、上限については一概に「これくらい」と決めつけできない難しいところがあるのです…。
それでは次に「亜鉛不足」について見てみましょう。
亜鉛の吸収率は低い!不足がちな人は多い
最近よく気にしているのが「吸収率」です。
犬ご飯について調べる前までは、恥ずかしながら「食事」「栄養素」について無知だった私。。(健康の要だというのに…)
そこで亜鉛の吸収率ですが、これは残念ながら低いことで有名なんですね。。なので偏った食生活を送る現代人は不足してる人が多いとのこと。
で、犬の場合もこの亜鉛不足が少し深刻になってきています。
大きな理由としては「手作り食」をされる飼い主さんが増えたこと。
手作り食を否定する意見の中で最も多いのが「栄養バランスの崩れ」。
手作り食でドッグフードのような栄養バランスを実現するのはとても難しいので、本当に犬の栄養学をしっかり学んで行わないと、かえって健康に悪いと言われているんです。
亜鉛は吸収率も低いですし、必要量をしっかり満たせるような食材も少ないのでなおさら不足がちになってしまうんですね。
でも、じつは完璧な栄養計算がされている(?)ドッグフードでも亜鉛不足はありえるようで…
ドッグフードでも安心できない理由
先にも書いたように、ドッグフードには一定量の亜鉛がしっかりと含まれるように作られています。
だから亜鉛不足を気にする必要はない…って思っちゃいますよね?
でも実際は、色々な理由でその吸収率が下がってしまっている可能性があるんです。
亜鉛は穀類、豆類、繊維質、カルシウムなどのほかの原材料や栄養素との兼ね合いで吸収率が下がってしまいます。
どれもバランス良く含まれていればいいんですが、過剰だとダメです(-_-;)
特に安価なドッグフードの場合、コストが低い穀類や豆類が大量に使われているものも多いので…怖いです。
またドッグフードに問題はなくても、
- 亜鉛の吸収を邪魔する薬を飲んでいる
- 個体によって必要量&吸収できる量がちがう
- 換毛期など亜鉛を特に必要とする時期は不足がちになる
などの理由から、必ずしも「(良質な)ドッグフードを与えているから大丈夫!」とはならないんですね。
亜鉛不足だとどうなるの?
ドッグフードでも手作り食でも「亜鉛不足」になる可能性はある、というお話をしました。
普通は、○○の栄養素が足りない…という判断って難しいと思います。
しかし、亜鉛不足においては、比較的表面(目で見て分かるところ)に症状が出やすいので、その判断はしやすいのかなと。
亜鉛不足の代表的な症状については以下のとおり。
- フケが多い
- 肉球が硬く乾燥気味
- 毛艶が悪くパサついている
- 色素が薄くなった
- 傷の治りが遅い
亜鉛は新陳代謝を行ったり、コラーゲンやケラチンを作るのに必要なミネラルなので、皮膚や被毛の状態にダイレクトに反映されやすいです。
パッと見て、何となく「不健康そうだな…」という印象を受けてしまうというか。
もし顔文字であらわすなら…こんな感じ?(笑)→(ヽ´ω`)
ただ、ポイントは、パッと見ても分かりにくい「肉球」かなと思います。
「散歩で擦れるから、硬くなったり、ガサガサになったりするんじゃないの?」と思ってしまいそうですが、亜鉛が十分に足りていると、不思議としっとりと程よい柔らかさをキープするそうです。
あと、亜鉛は抗体を作る働きにも関係しているので、不足すると免疫力が低下してしまいます。
見た目も中身も、その健康を守るためにやっぱり亜鉛は大切なんですね!
逆に過剰摂取だとどうなるの?
亜鉛に限らず、どんな栄養素も「不足もよくないけど、過剰もよくない」…ですね(;´Д`)
亜鉛においては、不足の心配こそあれ、普通の食事をしていて過剰になることはまず無いです。
唯一、過剰摂取となってしまうとしたら…それはサプリメントを利用している場合でしょう。
サプリは便利ですけど、特定の成分を凝縮したある意味“不自然な食品”なので、そういう危険性は隣り合わせです。
亜鉛の過剰摂取では…
嘔吐、食欲不振、下痢、銅の減少、免疫力の低下
などの心配があります。
(※亜鉛が過剰だと、銅の吸収率が下がります。逆に銅が過剰だと、亜鉛の吸収率が下がってしまいます。)
サプリメントを利用するなら、過剰摂取にならないように気を付けなくてはなりません。
犬に亜鉛サプリをあげたい【人間用は大丈夫?】
特に手作りご飯では不足がちになってしまうので、亜鉛のサプリを使っている飼い主さんは多いようです。
亜鉛のサプリは犬用(ペット用)も販売していますが、何となくその品質が不安…という方も多いのではないでしょうか?←私です。
その場合、「人間用」を与えても大丈夫です。
ただ、気を付けたいことが「2つ」あります。
原材料の確認
人間用のサプリには、犬には必要のない(好ましくない)成分が含まれているものも多いので、その点はしっかり原材料をチェックするようにしてください。
亜鉛のサプリは、亜鉛単体のものも売っていますが、ほかのミネラルやビタミンなどが一緒になっているものもかなり多いです。
色んな栄養素をトータルで補えるのは便利ですが、栄養バランスが崩れる可能性もあるので、個人的には「不足している」ことがたしかなものだけを補えるごくシンプルなものを選んだほうがいいのかなと思います。
(ただ、手作り食で自信が無い人にはそういうサプリのほうがいい場合もあるので、ケースバイケースですが^^;)
量の確認
あと、気を付けるべきは「量」ですね。
必ず1粒(1カプセル)でどのくらいの亜鉛を摂取できるかを確認して与えるようにしましょう。
この量も見極めが難しいと思いますが、フードや手作りご飯にも含まれていることを考慮して、はじめは少量から試すのが◎
分からなければ、犬の1日の亜鉛必要量の「体重1kgあたり0.9mg」の半分くらい…「体重1kgあたり0.4mgくらい」をサプリから補う目安にするといいかと思います。
亜鉛不足の症状があるなら、その量でしばらく与えてみて改善は見られるか?を確認。そうやって愛犬の適量を見つけてあげてください。
(もしくは、換毛期や、怪我をしているときや手術後など、普段より多くの亜鉛が必要なときだけサプリを与えるというのも1つの方法です。)
亜鉛サプリには種類がある?
今回の記事を書くにあたり、色々な亜鉛サプリを調べてみました。
そこで原材料欄を見ていると、亜鉛にも種類があるのだということが判明。たとえば…
- グルコン酸亜鉛
- 亜鉛酵母
- 酢酸亜鉛
- 硫酸亜鉛
などなど、書かれている名称がちがうのです。
これは「キレート化」といって、低い亜鉛の吸収率を上げるために、ほかの成分と結合させていて、種類が違うのは、その結合させる成分が違うためであることが分かりました。(亜鉛酵母は別)
…で、じゃあどれが1番吸収率がよくて、なおかつ安全なものなのか?というと、これがよく分からなかった(汗)
硫酸亜鉛の吸収が1番良い…という情報もあったのですが、未だ詳しいことは解明されていないようです。
因みに人間用のサプリで多かったのは「グルコン酸亜鉛」でした。
気になった亜鉛サプリをご紹介
ここでは私が個人的に気になった亜鉛サプリをご紹介します。
ニューサイエンス 亜鉛 60カプセル Zn
こちらは人間用の亜鉛サプリになります。
60カプセルで定価は3,675円。人の場合は1日目安が1カプセルなので、約2ヶ月分ですね。ほかの亜鉛サプリと比べると値が張ります。
しかし、安全性が1番高いのでは?と感じたので、そのお値段にも納得かな?
原材料は至極シンプルで、亜鉛酵母とプルラン(カプセルにするために必要)のみ。
よくあるグルコン酸亜鉛は化学的な方法で作られているということで、その点でも酵母由来のこちらのほうが安心できそう。
中身は亜鉛酵母だけなので、保存料、乳化剤、着色料、香料などは使われておらず無添加。GMP取得工場で製造されている点もポイント高いです^^
1カプセルで13mgの亜鉛が含まれています。犬に与える場合は、カプセルから中身を出して量を考えてあげる必要があります。
私が愛犬に人間用の亜鉛サプリを与えるとしたら、こちらが最有力候補かもしれません!
亜鉛が豊富な食べ物を調べて分かったこと
サプリも便利ですが、やはり栄養素は食事から補いたいもの。それが1番自然ですし、安心ですよね^^
そこでここでは、犬に与えることができる「亜鉛が豊富な食べ物」を調べてみました。
亜鉛が豊富な食べ物(100gあたり)
魚介類 | |
---|---|
牡蠣(生) | 13.2mg |
肉類 | |
牛肉(肩) | 4.9mg |
牛ひき肉 | 4.3mg |
牛ひれ肉 | 4.2mg |
豚肩ロース | 2.7mg |
豚レバー | 6.9mg |
鶏レバー | 3.3mg |
魚類 | |
いかなご | 3.9mg |
乳製品 | |
パルメザンチーズ | 7.3mg |
プロセスチーズ | 3.2mg |
脱脂粉乳 | 3.9mg |
種実類 | |
ごま | 5.9mg |
ひまわりの種 | 5mg |
穀類 | |
小麦胚芽 | 15.9mg |
アマランサス | 5.8mg |
その他 | |
卵黄 | 4.2mg |
きなこ | 3.5mg |
煮干し | 7.2mg |
焼のり | 3.6mg |
亜鉛が豊富な食べ物で1番有名なのが、ずばり牡蠣。これはもうパッとイメージしちゃいますよね。
しかし、残念ながら犬には(人もか)全く馴染みのない食材です…。
というか、牡蠣って犬にはあげてはいけないものだと思っていました。調べたら絶対ダメというわけではないんですね。(とはいえ少量が基本かと思います。)
そんなわけで、犬にとって亜鉛を摂取するのに適しているのは、やはり「お肉」であることが分かりました。
中でも牛肉が強いです!牛肉は、色んな部位にバランスよく亜鉛が含まれているのが嬉しいところ。
あとはレバーもいい感じですね~。ただ、レバーはビタミンAも多いので摂りすぎ注意。毎日多量に与えるのはおすすめしません^^;
(我が家では一週間に1回ほど、その日のたんぱく源として多めにあげています。)
ほかは、1度にあまり多量に与えられない食材ばかりです。
ただ、少しずつでも色々な食材を組み合わせることで亜鉛の含有率は上がるので、ぜひ今回ご紹介した「亜鉛が豊富な食べ物」を参考にしてみてください^^
与え方のポイント
亜鉛は、犬の好物「お肉(主に牛肉)」に多いと書きました。さらに嬉しいのが、肉、魚などの動物由来のほうが吸収率が良いこと。
ただ、その他の食材も
- 動物性たんぱく質
- ビタミンC
- 牛乳(乳糖)←平気なワンちゃんのみ
と一緒に摂ることで、亜鉛の吸収率が上がります!
吸収されにくい亜鉛を少しでも効率よく取り込めるように、意識して食材を選んでみてくださいね。
《参考》犬が食べても平気なビタミンCが多い食べもの【野菜・果物】
《参考》飼い主なら一度は気になる?犬に牛乳は与えてもいいのか調べてみました
まとめ
「犬と亜鉛」についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
まずは愛犬の亜鉛不足をチェックして、気になる症状があれば、食べ物やサプリでしっかりと補ってあげてください。
そしてよければ、飼い主さん自身も「亜鉛が足りているか?」この機会に見直してみてくださいね(・∀・)