昔からよく目にするのが「犬に牛乳は与えてもいいの?」という質問です。
「あまり気にせずに子犬の頃から普通に与えていた」という方や、「牛乳は絶対にダメだと思っているから一切与えてない」という方。
さまざまな飼い主さんがいらっしゃると思いますが、あなたのご家庭はどうですか?
テレビドラマなどでは、捨てられていて拾われた子(ワンちゃんも猫ちゃんも)に牛乳を与えるシーンはもはや定番になっていますが、実際のところはどうなのか…よく分からないという方も多いかもしれませんね。
そこで、このページではペットの飼い主さんが一度は気になったことがあるであろう「牛乳を与えていいか?」という疑問について調べてみました。
目次
「犬に牛乳は与えてはいけない」と言われる理由
まず、どうしてワンちゃんに牛乳を与えてはいけないのかというと、ワンちゃんは牛乳に含まれる「乳糖」を消化できないため、「下痢しやすい」と言われているからです。
乳糖を消化できないのは、乳糖分解酵素のラクターゼを持っていないから(もしくは少ないから)。
この酵素は母犬の母乳に含まれていて、離乳するまでの子犬ではまだたくさん残っていますが、年をとるに連れてだんだんと減少していってしまいます。
ですから子犬の頃は問題なく消化できても成犬のワンちゃんに与えるとお腹を壊してしまう可能性が高いんですね。ある研究では、成犬で体重1kgあたり20mlの牛乳で下痢や軟便の症状が出るという報告もあります。
しかし、子犬の頃から継続的に牛乳を与えている場合は、成犬になってもこのラクターゼを維持しており全く問題ないという子も多いです。
もちろん体質によっては、「今まで1度も与えたことがなくてある日突然牛乳を与えてみた」そんな場合でも全然平気…という子もいます。
他の理由では、牛乳は脂肪分が多いから肥満になりやすいという声があります。気になるカロリーは大体100mlで67kcalぐらいですが、各家庭によって与える量はさまざまなので、この点は与え過ぎに注意すればいいのかなと思います。
全く問題ないワンちゃんも多い
「犬に牛乳はダメ」と叫ばれる方が多いですが、実は全く問題ないワンちゃんも多いんですよ。
小さい頃から与えられてきたワンちゃんに多いのはたしかですが、成犬になってから牛乳を与えても何も問題ないワンちゃんも多いです。
もちろん与え過ぎはよくありませんが、牛乳にはワンちゃんが多く必要とするカルシウム(加えて吸水性の高い乳酸カルシウム)やビタミンが豊富なので、合う子に適量を与えることはむしろ健康効果が期待できます。
これまで一度も与えてこなかった方も、試しにちょっとあげてみてもいいかもしれません。しかし、初めての場合はほんの少量で様子をみるようにしましょう。薄めてみるのもいいと思います。
牛乳の代わりにおすすめしたいもの
「牛乳が合わない」、もしくは「どうしても与えるのに抵抗がある」という場合は、他の食品でも栄養を補えるので無理に牛乳を与える必要はありません。
しかし、乳由来の栄養を摂らせたいとあなたがお考えなら、代わりにおすすめしたいものがあります。
カッテージチーズ
牛乳にお酢やレモン汁を加えて簡単に作れるのがカッテージチーズです。元は牛乳ですが、乳糖は分離した乳清(ホエイ)のほうにいくので、カッテージチーズ自体の乳糖は少なくなっています。チーズの中では群を抜いて低カロリーなのが特徴。
ヨーグルト(無糖)
ヨーグルトに含まれる乳酸菌が乳糖を分解してくれるので、ワンちゃんのお腹に優しいうえ、他の食材の消化も助けてくれる働きがあります。豊富な乳酸菌が腸内環境を整えるので便秘に効果的。ワンちゃんには必ず無糖のものを選ぶようにしてください。
ヤギミルク
鉄、亜鉛などの微量元素やビタミン、ミネラル、タウリンが豊富なのがヤギミルク。牛乳と比べて脂肪球が6分の1と小さく吸収性がいいのが特徴。乳糖が牛乳よりも少なく、母乳に1番近いと言われていて問題なく飲める子も多いようです。
※また、人用の牛乳が合わない子に犬用ミルクを勧められる方がいますが、個人的にはおすすめしません。
結論:牛乳は、合う子には与えてもOK、合わない子には与えないほうが無難
牛乳は合う子には美味しく栄養補給ができる嬉しいものですが、合わない子にとっては体調を崩してしまう原因となるものです。
少量なら問題ない子が多いようですが、与えるかどうかは飼い主さんが愛犬の体質を見極めて判断するようにしてください。初めて与える場合は慎重に。
当然牛乳が合わない場合は無理に与える必要はありません。ただ他の乳由来の製品が大丈夫なワンちゃんは多いので試してみてもいいかもしれませんね。