犬にとって非常に重要な栄養素である「カルシウム」ですが、たくさん摂りすぎても、当然少なすぎてもよくありません。
じゃあ「必要量を守ればいいか?」というとそうでもないのだから難しいところ。カルシウムの吸収において最も大事なのは「他の栄養素とのバランス」と言われています。
それでは、カルシウムと深く関係する栄養素にはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
カルシウムと深~い関係のある栄養素たち
リン
まず、カルシウムを語るうえで外せないのが「リン」です。カルシウムの次に、体内に多いミネラルがリン。
リンの80%は骨にあります。そう、両者ともそのほとんどは骨にあり、一緒に骨の成分を作っているんですね。(骨の主成分はリン酸カルシウム)
そしてカルシウムは筋肉の働きにも欠かせないものですが、リンはカルシウムよりも多く筋肉に存在します。栄養素には似た働きをするものも多いですが、やはりその栄養素に限られた特有の働きもあるんですよね。リンは核酸を作る成分にもなったりします。
それからよく言われていることですが、リンとカルシウムのバランスは「1:1.2~1.4」が良いとされています。(1:1、1:2という声も)リンよりもカルシウムのほうを多く摂ったほうが良いということですね。
しかしながら、現在は人も犬もリンが過剰傾向にあるそうです。
カルシウムは含まれる食材が少ないのに対して、リンは含まれる食材がたくさんありますし、加えて、リンは食品添加物としてさまざまな加工食品に利用されています。(リン酸塩)
人で言えば、ハム、ソーセージ、インスタントラーメンなどの加工食品に。犬の場合は、フードやおやつに使われていることが多いです。
そうしてリンを過剰に摂ってしまうと「カルシウムの吸収を阻害する」「骨の中のカルシウムが溶け出す」と言われています。
ですので、カルシウムをしっかり摂っても、それを上回るリンを摂っていては骨が脆くなり、骨折の原因になるかもしれないということ。また栄養バランスの崩れはさまざまな症状の引き金になりかねません。
過剰になりやすいことを意識して、リンとカルシウムのバランスは常に頭に置いておくようにしましょう。
マグネシウム
マグネシウムもカルシウムと同じく、体内にある約60%が骨や歯に存在しています。
働きもカルシウムとほぼ同じで、歯や骨の形成、筋肉の働き(カルシウムは収縮ですがマグネシウムは弛緩)に関わっています。
とはいえ他にも、体温や血圧調整、インスリンの分泌を促すなどのさまざまな作用を持っているのがマグネシウム。
理想的な摂取バランスは「カルシウム2:マグネシウム1」と言われています。
マグネシウムが不足してしまうと、骨からカルシウムが溶け出してしまうので骨折の原因に。やはりカルシウムだけをたくさん摂ればいい、というわけではないんですね。
また血液の流れを悪くする「カルシウムの血管内の沈着」を防ぐ役割もマグネシウムは担っています。
マグネシウムを多く含むものは、海藻類がトップ。肉や野菜にも含まれるものがありますが、カルシウムのように乳製品にはそれほど多くないのが特徴です。
ストレスなどでも消費されてしまう栄養素なので、食事からしっかり補うことが大切です。
ビタミンD
カルシウムの吸収を助けることで知られているのが「ビタミンD」です。
小腸や腎臓でのカルシウム吸収を助けるほか、体内のカルシウム濃度を一定に保つ、血液中のカルシウムを骨へ吸収させるなど、カルシウムに関わる働きがいっぱいなのが、このビタミンD。
ビタミンDと言えば、お日様に当たることで体内に作られることで有名です。ただ人間と違い、犬や猫の場合はその方法(日光に当たる)ではどうやら作られづらいらしいのです。
毛に覆われていることや、ビタミンDを合成する物質が少ないとかなんとか…。
とはいえ全くの0ではありませんし、そもそもビタミンD合成以外にも、お日様に当たることには色々なメリットがあるので適度にやるのが望ましいです。
それに加えて食事からもしっかり「ビタミンD」を摂るようにしましょう。
ビタミンDは、しいたけ、しめじなどのきのこ類、いわし、かつお、さんま、ぶりなどの魚類やレバーにも多く含まれています。
ビタミンK
カルシウムについての話題で、リンやビタミンDのように取り上げられることは少ないかもしれませんが、「ビタミンK」もとっても重要な栄養素です。
ビタミンKは、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えたり、カルシウムが骨になるのを助ける働き、さらに、高血圧や動脈硬化などの原因となる「骨以外の組織へのカルシウムの沈着」を防ぐ働きがあります。
他には、こちらも生命にとって大切な「血液凝固」もビタミンKの役割の1つ。
数あるビタミンの中では存在感が薄いかもしれませんが(笑)このように、ビタミンKは健康な骨の維持にはもちろん、さまざまな病気の予防にも必須の栄養素なのです。
ビタミンKは、体内の腸内細菌によっても作られるので、あまり不足の心配はいらない栄養素。とはいえ、1日の必要量に満たないときもあるので、やはり食事から適度に摂取することが望ましいと考えられています。
ビタミンKは、パセリ、アシタバ、小松菜、ほうれん草、海苔、納豆などに特に多く含まれていますが、その他の食材にもまんべんなく含まれています。
手作りの場合は、色々な食材を使うことで自然とビタミンKを補うことが出来るでしょう。
まとめ
摂りすぎても摂らなすぎてもいけないカルシウム。さらには他の栄養素との関係も重要なことが分かりました。
カルシウムとのバランスで特に気にしたいのは、リン、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK。
単体で見てもどれも体にとっては大切な栄養素ですが、カルシウムとの関係をちょっと意識してみると、より健康的な食生活が実現するはずです^^