今はお値段もそこそこの良質なドッグフードも増えてきましたが、やはり安価で粗悪なフードの需要も変わらずにあります。
そこで、そのドッグフードがどんなものか?を知る1つの目安になるのが「成分分析値」。パッケージの裏面に載っています。
今回は、よく知らない方も多いと思われる「成分分析値」についてのお話。
ドッグフードの成分表示の決まり
ドッグフードには、粗たんぱく質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分の5つの成分量を表示しなくてはいけない決まりになっています。
ここは、「成分分析値」とか「保証分析値」とか「保証成分」などと書かれています。
じつはこの項目について…私も詳しくは知りませんでした^^;
「どんなものが使われているか?」がダイレクトに分かるので、原材料はしっかりチェックするのですが、成分のところはチラッと見て終わり…なんてことは今までに何回も(;・∀・)
で、ドッグフードにおける成分分析値というのは「これだけの成分が入っていることは保証しますよ~」ということを意味します。
でも書き方がけっこう曖昧ですよね。
粗たんぱく質や粗脂肪では「以上」で、その他の粗繊維、粗灰分、水分は「以下」で表記されています。
これはやっぱり“保証”という意味合いで、重要なたんぱく質や脂肪は「これだけは入っていますよ」ということを。その他は、多すぎると必要量のカロリーや栄養素が摂れない可能性があるので「これ以上は入っていませんよ」と宣言しているんですね。
でも、もっときっちり「この成分は○%!」と明言することはできないのでしょうか?
頭に「粗」が付いている理由
それは、成分の頭に「粗」が付いている理由につながってきます。
この「粗」は、大体とか、おおよそとかの意味だと思ってOKです。
これは決して
面倒だから「これくらい?(手抜き)」で表示しておけばいいでしょ!
というものではなく(笑)どうしても他の成分が混ざってしまって、その成分だけの測定が難しいためです。
たとえば…
- たんぱく質…アミノ酸のほかアミン類も含まれる
- 脂肪…脂肪のほか脂肪に溶けているビタミン、他の成分も混ざる
- 繊維…酸やアルカリに溶けないケラチン等も測定される
- 灰分…フードを燃やして残った灰には、ミネラルのほか、酸化物も含まれる
このように、純粋な成分だけを測定するのが難しいので、頭に「粗」が付いているんですね。
※下記のサイトに詳しいことが載っています。
《参考》ペットフードの製造について(ペットフード公正取引協議会)
どのくらいの数値がいいの?
おそらくあなたが気になっているのは、成分表示の仕組みなどではなくて、
それぞれの成分の数値はどのくらいがいいの?
ということではないでしょうか。私もこれが知りたかったです。
ただ、理想的な数値というのは犬によっても違ってくるので、ここでは「このくらいが良い」と言われている基準の数値についてご紹介します。
粗たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や被毛、血液など体を作る基本となる栄養素です。
犬は人の倍のたんぱく質が必要と言われています。また、「減らしたほうがいいんだろうなぁ」と一見思われる老犬でも、成犬と同じかそれ以上に必要と言われているので、この点も覚えておきたいところ。
《参考》老犬も高タンパクフードがいいって本当?「シニア用」に隠された罠
なにせ体を作っている栄養素なので、不足すると、筋肉量の低下、毛艶がなくなる、皮膚病になりやすくなる、免疫力が下がる…などさまざまな影響が。不健康体にまっしぐらです。
数値の目安は?
成犬の場合、最低でも「22.0%以上」はあったほうが良いです。
愛犬の様子を見て現状キープでいきたいなら「25%以上」で。成長期の場合は30%前後のものを選ぶといいかと思います。
粗脂肪
たんぱく質の次に重要なのが脂肪…脂質です。何となくドロドロなイメージで、特に女性は「太る…」というネガティブな印象を持っているかもしれません。
が、脂肪は大事なエネルギー源ですし、体温保持、皮膚や被毛の健康、脂溶性ビタミンの吸収を高めたりと、さまざまな働きを担っています。
とはいえやはり摂り過ぎれば肥満になるので、動くことが少なくなった老犬や、運動量が少ない犬の場合は「控えめ」が良いでしょう。
数値の目安は?
最低でも「8~10%以上」のものが良いです。
これは必要最低限の目安なので、成長期であったり活発な犬であればもっと多くてOK。15%前後で探してみると良いかもしれません。
ダイエットが必要な子の場合、控えめに…とは書きましたが、脂質を減らすよりもほかに糖質(炭水化物)を減らさないと意味がない、そっちを重視したほうが良い場合もあるのでご注意を。
個人的には脂質よりも、安価なフードに多い“穀類”に多く含まれる糖質(炭水化物)のほうが太りやすいのかなと疑っています(-_-;)
粗灰分と粗繊維
たんぱく質と脂肪ほど重要ではないので、こちらはサラッとご紹介(笑)
※大体どのフードもあまり差は無いようです。
粗灰分…5~10%
粗灰分…この数値は「ミネラル量」の目安になります。
犬にとっても必要なカルシウム、ナトリウム、カリウム、リンなどのミネラル。ただ多すぎると犬の体によくないので、↑の数値を参考にして選ぶようにしましょう。
粗繊維…4%以下
分析において、水溶性食物繊維は測定できないことから、「粗繊維」の数値は不溶性食物繊維の量と考えられています。
繊維質は、適量なら肥満や便秘にいいですが、多すぎるとフードの栄養価が低い可能性や、たんぱく質とカルシウムの吸収を邪魔してしまうので注意。
↑の数値を参考に、多すぎるものはやめておいたほうがいいでしょう。
ドッグフードの成分欄は「ガン見」ではなく「チラ見」でOK
ドッグフードの成分について色々書いてきましたが、正直なところ、この部分は「ガン見」ではなく「チラ見」程度でOKです(笑)
大体どのくらい、たんぱく質(脂肪)が含まれているかな?
は、しっかりチェックする必要がありますが、たとえ↑に書いた含有量を満たしていたとしても100%安心とは言い切れませんので。
たとえば、たんぱく質が30%以上で「高たんぱくのフード」だと分かっても、その“たんぱく質の質”までは分かりません。
もしかすると、犬の食性に合った「動物性のたんぱく質」ではなく、消化が苦手な「植物性のたんぱく質」かもしれないからです。
そのほとんどが植物性のたんぱく質であってもたんぱく質はたんぱく質。成分欄にしっかり表記できてしまうので…。
なので、本当の内容を知るには「原材料」も見る必要があります。
このことから「原材料と成分欄はセットで見るのが大事」ということが言えます。
効率の面から考えると、まずはサラッと成分欄をチェック。必要な含有量を満たしていることを確認したら、次にじっくりと原材料をチェックする。
この流れがいいのではないでしょうか(・∀・)
ぜひ参考にして、愛犬に必要な栄養をしっかり満たせるドッグフードを選んでください。
まとめ
今回調べた結果、何となく面倒そうでちょっと避けているところがあった(笑)「成分分析値」についてよく知ることができました。
これまでの私は、いかんせん「評判がいいから…」という理由でドッグフードを買うことも多かったのですが、これからは成分欄も意識して見てみようと思います。
あなたはいかがでしょうか?
たとえば、まだ新発売で「評判がわからない!」という場合でも、成分など最低限の指標が分かればご自分でも「安心かどうか?」の判断ができるようになるはずです^^
もし今後新しいフードを買うことがあったら、成分欄もチェックしてみてくださいね。