愛犬を何気なく見ていると、「そういえば最近よく水を飲んでいるな」と感じることがありませんか?
水は生命の源ですし、動物の体のおよそ3分の2は水分でできているので、水を多く飲んでいても特に気にしない方も多いかもしれません。
しかし、ワンちゃんの水の飲み過ぎには危険な「病気の可能性」が隠れているかもしれないのです。
飲み過ぎかどうかの判断基準は?
飼い主さんが「飲み過ぎ」だと思っている量でも、実は全然そんなことはなかったというケースは少なくありません。そこで、ワンちゃんの1日の水分摂取量の目安と多飲の場合の目安をご紹介します。
犬の1日の水分摂取量の目安は…
- 正常な範囲…体重1kgあたり50cc前後
- 多飲の場合…体重1kgあたり100cc以上(食物中の水分も含む)
大体10kgのワンちゃんで500cc前後の水分量なら問題なく、1リットルを超えてしまうと飲み過ぎということになります。
ただし多飲の目安は食物中の水分も含んでの量なので、その点を考慮しなければいけません。
ドライフードの場合は判断しやすいかもしれませんが、水分が多いウェットフードや手作りごはんを与えている場合はちょっと判断に困ってしまうかもしれませんね。
(正常な範囲の場合も、例えば水分たっぷりの手作りごはんを与えている場合の飲量は当然少なくなるでしょう。柔軟な判断が求められますね。)
飲量を把握するのが難しいのですが…
固形のご飯と違って、液体である水の摂取量を把握するのは案外難しいものです。
一般的には、あらかじめ決められた量の水をボトルなどに入れておき、そこから器に水を注ぎ、1日の終りに残った水の合計量で判断する…などの方法が考えられます。
しかし、多頭飼育の場合や、お水を飲むときにビシャビシャこぼしてしまう子の場合(うちがそうです…)はなかなか難しいのものがあるのではないでしょうか。。
少々大変かもしれませんが、飼い主さんがいるときは意識してワンちゃんの様子を注意深く見ておく、いないときはカメラを設置するなどしてなるべく状況を把握する工夫が必要かもしれません。
そして、やはり大事なのは、微妙な変化も気付いてあげられるように常日頃からワンちゃんの状態をチェックしておくことでしょう。
水をたくさん飲んでも問題ないケース
犬が水をたくさん飲んでいても問題ないケースもあります。それは私達人間でも同じことが言える状況。
例えば、激しい運動をした後、夏など気温が高いとき、乾燥したものを食べたとき…このような場合には誰でも普段より飲む水の量は多くなります。
ワンちゃんも同じで、このようなときに一時的に飲む水の量がアップしても問題はないでしょう。
注意したいのは、季節や状況に左右されず常にたくさんの水を飲んでいたり、前と比べて急に水を飲む量が多くなったと感じたときです。
水の飲み過ぎで考えられる病気とは
明らかに大量の水を飲むようになった、と感じる場合は病気の疑いがあります。そして多くの場合、「多飲」と「多尿」はセットになっていることが多いです。
もしあなたの愛犬が水を飲み過ぎていると感じたら、同時におしっこの回数や量は増えていないか?も必ずチェックするようにしましょう。
ここでは「多飲多尿」で考えられる病気についてご紹介します。
糖尿病
インスリンの量が少なかったり上手く機能しないことで血糖値が高くなることで起こるのが糖尿病です。食欲旺盛なのに痩せているのが特徴で、クッシング症候群が原因になることもあります。
腎不全
シニア犬に多い病気で、長期間かけてじわじわ症状が進行するのが特徴。症状が出る頃には腎臓機能の75%が失われているという恐ろしいものです。
その初期の症状が多飲多尿で、必要量の水分を吸収できずおしっことして排出、それを補うために大量の水を飲む…という悪循環が発生。
老廃物や毒素も上手く排出できずに尿毒症の原因になることもあります。
クッシング症候群
高齢犬に多く見られる、副腎皮質ホルモンの過剰分泌で起こる病気です。多飲多尿の他、食欲が増す、左右対称の脱毛、お腹の膨れなどの症状が現れます。
尿崩症
体内の水分バランスの調整を担う「抗利尿ホルモン」が正常に機能しないことで起こります。水分がちゃんとに吸収できずに大量のおしっことなって排出されてしまいます。処置としては、水を好きなだけ飲めるようにしておくことが大切です。
子宮蓄膿症
避妊手術を受けてない雌がかかる、細菌感染が原因の子宮に膿がたまる病気です。尿崩症の原因になることもあり、その場合先に治さなければ尿崩症も治らないため、子宮蓄膿症の治療が先決となります。
まとめ
一口に「犬がたくさんの水を飲む」と言っても、さまざまな可能性が考えられることをお分かりいただけたかと思います。
問題ない場合も多いですが、中には命に関わる病気の疑いもあったりと油断はできません。
どんな病気も早期発見、早期治療が大事。少しでも不安に感じたら、迷わずに動物病院で診察してもらうことをおすすめします。